見出し画像

地球や人の未来を想う、やさしい気持ちを後押ししたい。「GREEN KEWPIE」で広がる食の選択肢_kewpie standard : FILE 01

環境問題や健康への関心の高まりなどを背景に、いま新たな食の選択肢のひとつとして「プラントベースフード」に注目が集まっています。

植物由来の原料を使用し、肉や魚、卵、乳製品などに代わる加工食品として製造されるプラントベースフードは、畜産由来の温室効果ガス排出量を抑えることなどが可能になり、未来に向けたサステナブルな食品として国内外で選択する人が増えています。そんなプラントベースフードを普段の食卓でおいしく手軽に楽しめるように誕生したのが、キユーピーの新ブランド「GREEN KEWPIE」です。

このような未来思考のブランドが生まれた背景には、どんな想いがあるのでしょうか?人々の健康や持続可能な社会への貢献をめざすキユーピーグループの取り組みと、そこに込めた想いに光を当てる特集「kewpie standard : FILE 01」では、2021年にプラントベースの卵代替商品「HOBOTAMA」の開発に携わり、その後「GREEN KEWPIE」の企画・立ち上げを手がけた研究開発本部 グループR&D推進部の綿貫智香に話を聞きました。


プラントベースの食生活をより楽しいものに

― まずは簡単に「GREEN KEWPIE」とはどんなブランドなのか、教えてください。

綿貫:「GREEN KEWPIE」はお客さまの多様な食の価値観に応え、新たな選択肢を提案するキユーピーの新しいブランドです。プラントベースフードで「これがいい」と選んでいただけるような存在をめざして、価値観の多様性や社会環境の問題に取り組みながら、「サステナブルな食」を実現していきたいと考えています。
商品ラインアップとしては、これから「GREEN KEWPIE」ブランドとして展開予定の「HOBOTAMA」と、2023年3月に発売したプラントベースのごまドレッシング、シーザーサラダドレッシングがあり、これからも商品を出していきます。

― 2021年に発売された、豆乳加工品などの植物性原材料で卵のような彩り・食感・風味を実現したプラントベースフード「HOBOTAMA」の企画・開発も綿貫さんが起案に携わりました。そこからどのように「GREEN KEWPIE」の立ち上げにつながったのでしょうか。

綿貫:「HOBOTAMA」が生まれたのは、これまで卵の楽しみ方や魅力をお客さまにお伝えしてきた企業として、また、日本で最も卵を取り扱っているメーカーだからこそ、「卵を食べられない / 食べない」という人の気持ちにも寄り添いたい、という考えからでした。
 
「HOBOTAMA」は発売当初から大きな反響をいただいたのですが、これだけでは食卓を豊かにできたとは言いがたいです。そこで、メニューが広がる調味料や調理食品も発売して、プラントベースの食生活をより楽しいものにしたいという想いから「GREEN KEWPIE」が生まれました。

左から「植物生まれのごまドレッシング」、「植物生まれのシーザーサラダドレッシング」、「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」「HOBOTAMA 加熱用液卵風」
※HOBOTAMAのデザインは順次切り替え予定

日本の食生活には、実は昔からプラントベースフードがあった?

― 「HOBOTAMA」の発売時には、どのような反響があったのでしょうか?

綿貫:卵アレルギーのご家族を持つお客さまを中心に、感謝の声を多くいただきました。さらに、気候変動や社会の変化に関心の高い方からも、「キユーピーがこのような商品を発売してくれて嬉しい」といった声がありました。

― 地球環境のことを考えてプラントベースフードを選んでいる方々からも当時から反響があったのですね。

綿貫:そうですね。食事でなにか困っていたり、食の選択肢を広げたいと思っていたりする方々から「キユーピーが自分たちの想いに寄り添ってくれていると感じた」と言っていただいたのが、私としては一番嬉しかったですね。

植物性原材料が主体の「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」を使ったモーニングプレート


― 欧米などではプラントベースフードが身近な存在になってきていると思いますが、日本の食卓におけるプラントベースフードや持続可能な食生活のあり方についてはどのように考えていますか?

綿貫:たしかに日本ではまだまだ馴染みがないものかもしれませんが、私はそれをネガティブにはとらえていないんです。実は、プラントベースフードは昔から私たちの身の周りにもたくさん存在しています。豆乳や豆腐、がんもどきといった大豆製品などが、日本の食卓に当たり前のように並んでいて、それらをプラントベースフードとは言わずとも、普段から口にしていると思います。
私自身、例えばがんもどきが昔はお肉の代わりに食されていたことを、この仕事をするまで知らなかったのですが、そのようにすでに身近にあるものだからこそ、プラントベースフードはこれからもっと日本の食生活に馴染んでいくだろうと思っています。

キユーピー 研究開発本部 グループR&D推進部  綿貫智香


― 「GREEN KEWPIE」が大切にしている「サステナブルな食」という言葉は、具体的にどんなことを指しているのでしょうか? 地球環境の持続可能性だけでなく、食を安定的に供給するといった意味も込められていますか?

綿貫:そうですね。「サステナブルな食」については多面的にとらえたいと思っています。地球環境だけではなく、健康的な食の提供、お客さまが選びやすい価格帯といった意味でもサステナブルを実現したいです。
また今後、気候変動が進んでいった場合に大豆などの植物性原料を確保できなくなってくる可能性もあるでしょう。ですので、一つの原料に固執せず、さまざまな原料を選びながら私たちの加工技術を磨き、持続的に商品を提供していくといった想いも込めています。

おいしさを追求する技術と熱意の「結晶」が形に。まずは2種のドレッシングから

― 「GREEN KEWPIE」において一番のこだわりは「おいしさ」だそうですね。おいしいプラントベースフードの実現のために工夫したことはありますか?

綿貫:おっしゃるとおり一番大切にしているのは「おいしさ」です。「おいしい」って本当に大事なので、その追求のために商品開発のメンバーが日々試作を重ねていて、「おいしさ」の設計にもこれまで当社が培ってきた技術が詰まっています。
例えば動物性の食材の特長に「コク」を出す機能があるのですが、それを植物性原料だけで再現するのはとても大変でした。ほかにもタンパク質の設計加工技術や、マヨネーズで磨き上げた乳化技術なども「GREEN KEWPIE」の商品づくりに活かされています。
そういった試行錯誤が「GREEN KEWPIE」のおいしさの秘密なのではないかと思います。

綿貫(中央)とともにプラントベースフードの開発に携わる研究開発本部のメンバー
食創造研究所  吉田かな美(左)、技術ソリューション研究所  磯部和宏(右)

― 「GREEN KEWPIE」にはキユーピーグループがこれまで培ってきた技術やこだわりが存分に発揮されているんですね。今回、第一弾の商品としてごまドレッシングとシーザーサラダドレッシングが発売されますが、なぜこれらを最初の商品として選択したのでしょうか?

綿貫:まずはお客さまからすでに多くの支持を得ている、ごまドレッシングとシーザーサラダドレッシングを通して、「GREEN KEWPIE」の魅力を知ってもらいたいなと思いました。「みんなが食べているドレッシングを私も食べられる、私も選択できる」ということを後押ししたい気持ちもありますし、まずはドレッシングで気軽にプラントベースフードを試してもらえれば、とも思っています。
ドレッシングもHOBOTAMAもお客さまが自由にアレンジして、自分好みの料理に使えるものなので、さまざまな食のシーンで楽しんでいただけたら嬉しいですね。

「人が喜ぶことをしたい」。日々のチャレンジの原動力は?

― 綿貫さんは入社からの約20年間で、「HOBOTAMA」の開発や「GREEN KEWPIE」の立ち上げなど新たなことに挑戦を続けています。そのモチベーションはどこから来るのでしょうか。

綿貫:私が新たなチャレンジをするたびに、応援してくれる人が出てきてくれることが原動力のひとつです。経営層から若手のメンバーまでいろいろな立場の方がいました。特に今回の「GREEN KEWPIE」では、研究開発の若手たちが「プラントベースフードが求められる世界が絶対に来る」と言って、試作品をつくってくれたことが印象的でした。
私はいつも人が喜ぶことをしたいと思っています。お客さまだけでなく、一緒に働く仲間や、ともに挑戦している社外の方にも喜んでもらいたい。新しいことに挑むのはパワーが必要で疲れてしまうときもありますが、社内で支援してくれる人やお客さまが喜んでくれる姿を見ると、また頑張ろうという気持ちになれるんです。

― 壁にぶつかることもたくさんあったと思いますが、それをどのように乗り越えてきましたか?

綿貫:「HOBOTAMA」のときもそうでしたが、もちろん社内には反対意見もありました。でも、どの声もすごく私には参考になるんです。意見をくださった方の懸念点がクリアできたり、その人に納得してもらえたりしたら私の自信になるだろうなとも感じていたので、そういったことが自分のモチベーションにつながっていたと思います。

肉も魚も卵も好きな人が「あ、これがいいな」と思える商品に

― そのような試行錯誤を経て生まれた「GREEN KEWPIE」ですが、これからお客さまの食卓でどんな存在になっていってほしいと思いますか?

綿貫:「GREEN KEWPIE」は多様な食の選択肢を提供するブランドでありたいと思っています。お肉もお魚も卵も大好きな人が地球や人の未来を考えて手に取って、「あ、これがいいな」って思ってもらえるような、そんなやさしい気持ちを後押しできる存在になっていきたいですね。そしてアレルギーの人もヴィーガンの人も一緒の食卓で気兼ねなく食事ができる、そんな社会を支えるブランドをめざしていきたいです。

― 食卓から地球の未来を考えたり、持続可能な社会に思いを馳せるという意識は、これからますます広がっていきそうですね。

綿貫:そうですね。これからも世界中のお客さまの声にしっかりと耳を傾けて、未来の食生活にマッチできるように商品を磨いていきたいと思っています。そうやってお客さまと一緒につくっていく活動、それが「GREEN KEWPIE」だと思っています。

― 最後に「GREEN KEWPIE」の今後の展開について教えてください。

綿貫:まずは商品を手に取って、プラントベースフードを体験して、こんな世界があるのだと気づいてもらえたら嬉しいですね。プラントベースフードのおいしさを伝えていくために、企業やプロの料理人の方などとも協力していきたいですし、子どもたちに学んでもらう取り組みなども継続して行う予定です。

― 海外への展開も視野に入れていますか?

綿貫:はい。キユーピーのなかでもあまり例のないことですが、「GREEN KEWPIE」は世界展開を視野に入れてスタートするブランドで、実際に海外向けの商品開発も進めています。将来は世界の食卓を豊かにするブランドにしたいと思っています。

■動画
https://www.youtube.com/watch?v=Z17FUal2e9Y

※ 内容、所属、役職等は公開時のものです

この記事が参加している募集

企業のnote

with note pro

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!