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卵の殻までしっかり使う。マヨネーズ発売当初から根付く、資源の有効活用への想い_kewpie standard : FILE 07

SDGsにつながる取り組みの1つとして、資源の有効活用に力を入れる企業は年々増えています。キユーピーも、卵の有効活用を通じて、資源の有効活用に注力しています。
 
年間約25万トンもの卵を使用するキユーピーグループ。これは日本で使用される鶏卵の約10%にあたります。キユーピーグループでは1925年に「キユーピー マヨネーズ」の製造販売を開始した当初から、マヨネーズの原料である卵黄以外の卵白や卵殻をはじめとした「副産物」を無駄なく使う方法を模索し続けてきました。
そして現在、他社との共創に取り組み、炭酸カルシウムを卵殻に置き換えたり、卵殻膜を化粧品やサプリメントの原料として活用したりするなど、多岐にわたる取り組みを進めています。
 
特集「kewpie standard : FILE07」では、キユーピータマゴ サステナビリティ推進課の加藤健仁郎とキユーピー サステナビリティ推進部の石井祐子にインタビュー。キユーピーグループが目指す資源の有効活用に込められた想いに迫ります。


マヨネーズで使う卵黄以外も有効活用。発売当初からの想い

― そもそも卵には、マヨネーズに使用する卵黄以外にどのような部分があるのでしょうか。

石井:卵は大きく分けて、卵黄・卵白・卵殻・卵殻膜に分類できます。
「卵黄」は黄身といわれる部分で、「卵白」は白身といわれる部分です。「卵殻」は卵の殻で、その内側の薄い膜が「卵殻膜」です。それぞれに特徴があり、食品の原料としてはもちろん、化粧品などに高度利用もされています。

キユーピー サステナビリティ推進部 石井祐子

― 卵の有効活用が始まる以前は、卵黄以外の部分はどのように扱われていたのでしょうか。

加藤:キユーピーがマヨネーズの販売を開始したのが1925年です。「キユーピー マヨネーズ」の製造には卵黄だけが使用されます。「副産物」として出た卵白を当時は自転車の荷台に乗せ、商店に販売していたという文献が残っています。
卵殻が活用され始めたのは1956年です。天日干しをしたあと、土壌改良材として使われてきたそうですが、それでも余ってしまったものは、廃棄物になっていたのではないかと想像します。

キユーピータマゴ 経営企画室 サステナビリティ推進課 加藤健仁郎

― とはいえ、かなり昔から卵白や卵殻の活用に取り組まれていたのですね。

石井:そのようです。キユーピーがマヨネーズの製造販売を開始したあと、経済成長や食の洋風化が追い風となり、マヨネーズの生産量は右肩上がりに伸びました。それに伴い、卵白や卵殻も急増したそうです。卵白や卵殻の有効活用は、当初から経営課題だったと聞いています。

チョークや化粧品など意外な活用例も

― キユーピーは日本で消費される鶏卵の約10%を使用しているといわれていますが、卵の有効活用の背景にある企業としての社会的責任についてどのように考えていますか。

石井:おっしゃるとおり、われわれは年間で約25万トン(約42億個)もの鶏卵を消費し、その過程で発生する卵殻は年間約2万8千トンにのぼります。これだけの量を扱うメーカーとして、そう簡単に卵殻を廃棄するわけにはいきません。
キユーピーグループの事業活動は豊かな自然の恵みのもとに成り立っているため、資源を有効に活用していくという想いは、創業当時から続くキユーピーの企業カルチャーの1つかもしれません。

加藤:私も入社当時に配属された卵の加工品を主に製造する工場で、毎日のように発生する規格外品(たとえば、卵焼きの焼き色や形が基準を満たしていないなど)を前に「活用先はないものか」と思い続けてきた体験があり、それがいまにつながっていると感じています。
ほかにも、キユーピーグループは1990年代後半からゼロエミッション活動を推進してきました。廃棄物の削減や再資源化など環境に関する目標達成に向けて取り組むなかで、卵殻を乾燥させて価値あるものにしていくという取り組みが推進されていきました。

― 現在、卵白や卵殻・卵殻膜はどのようなものに活用されているのでしょうか。

加藤:卵白はかまぼこや麺類、パン、菓子などさまざまな食品の原料として広くご使用いただいています。卵殻膜は化粧品やサプリメントの原料として使用されています。さらに卵殻は、1981年にカルシウム強化用食品原料「カルホープ」として商品化しました。

石井:ほかにも卵殻の高度利用を目指し、他企業と協働してきました。たとえば、学校で使われるチョークや壁紙の原料として使われています。卵殻が原料のチョークの粉は、集めて花壇に撒けば、土壌改良材としても活用できるんです。

卵殻はパウダー状になるまで細かく砕き、カルシウム強化剤としてさまざまな食品に使用している

― 食品以外でも進む卵殻の有効活用ですが、どのような技術でそれを支えているのでしょうか。

加藤:たとえばカルシウム強化剤を製造するため、卵殻と卵殻膜を剥がすキユーピー独自の特許技術が活かされたと聞いています。卵殻膜を剥がすのは非常に難しく、当初は困難を極めたそうです。試行錯誤を繰り返すなかで、1981年にようやく機械的かつ工業的に膜を完全除去することに成功しました。

石井:ほかにも、食品などに添加しやすくするために卵殻を微粉砕にするというのも当時の大きな技術だったと思います。これにより食品に入れても風味や食感を損なわずおいしく食べていただけるようになりました。

4年越しの想いが実を結んだ、東リとの共創プロジェクト

― 2023年12月には、東リ株式会社(以下、東リ)が卵殻を使用した床材「バイオミックストーン」を発売しました。まずはプロジェクトがスタートしたきっかけについてお聞かせください。

加藤:始まりは2019年に東リの社内コンペで承認された「卵殻を活用した床材」のビジネス案でした。東リの本社オフィスとキユーピータマゴの工場は同じ兵庫県伊丹市内にあり、ご近所だったことから、「身の回りのものを有効活用できないか」とお声がけいただいたのがきっかけです。

新型コロナウイルスの影響により、プロジェクトの進行が停滞することがありましたが、2022年から対面でやり取りする機会が増え、テスト品を手に取ったり、両社の工場を見学したりして関係性を構築していきました。

―「バイオミックストーン」にはどのような特徴があるのでしょうか。

加藤:石灰岩から採取する炭酸カルシウムの一部を卵殻に置き換えることで実現した環境に配慮した素材です。卵殻の質感を活かした高いデザイン性が特徴です。実物を見てみると、卵の殻がタイルの表面にくっきり浮き出ているのがわかります。まだ発売して間もないですが、すでに商業施設で実際に使用されています。

― 生産過程で工夫した点はありましたか?

加藤:キユーピーグループの工場から排出される卵殻を、再粉砕するなどの新たなエネルギーをかけることなく、東リに原料としてご使用いただくことを大切に進めました。いくつかの卵殻サイズでテストを実施して、商品化していただきました。

石井:当社は食品ビジネスで成り立っているため、食品以外の分野へのチャレンジは、私たちの技術だけでは到底なし得ないことが多々あります。本プロジェクトのみならず、卵の有効活用を加速させるためには、やりたいことを洗い出し、パートナー企業を選定して実行に移す行動力も大切だと感じています。

サプライチェーン全体を巻き込み、サステナビリティを推進

― 東リとのプロジェクトで学びとなった点や、ほかのプロジェクトにも活用できそうな点はありますか。

加藤:私たちは新しいことを考える際に、「食べられるものを」という意識で動いてしまいがちですが、今回のプロジェクトを通して、まだ知り得ない分野にチャレンジできたのは大きな経験となりました。この経験を踏まえて、他社と共創するうえでは「社会にどのような価値を生み出せるのか」を大事なポイントとして考えるようにしています。
さらに共創先とは環境や社会に役立つことをしようという意識を共通して持つことで、足並みをそろえながら開発・製造を進めていくことも重要なポイントです。

他社との共創で開発した商品の一例

― あらためてお二人が感じるキユーピーグループならではの仕事のやりがいと、今後の展望についてお聞かせください。

石井:マヨネーズの生産量増加に伴い、これまで厄介な副産物であった卵殻は、いまは社会に役立つ存在へと変化しています。さらにまだ私たちが気づいていない魅力を秘めているかもしれません。そんな魅力ある卵殻を、社会や地球のために役立て、持続可能な未来へとつなげていける点も、キユーピーグループで働くやりがいです。
今後はその成分にさらに注目をして、ただ使うだけではなくて、アップサイクルも進めていけたらいいなと思っています。

加藤:キユーピーグループは多くのサプライチェーンを有しています。一社でサステナビリティを推進しようとすると、どうしてもコスト負担がかかってしまうので、業界やサプライチェーンを巻き込み、推進することが私自身のミッションであり、やりがいです。
キユーピーグループではやりたいと声を上げたことに対しては、何事にも挑戦をさせてくれる文化があります。難しいことであっても、グループ従業員の力を借りながら一つずつ課題をクリアしていきたいと思っています。

■動画
https://youtu.be/0c5vJTU37j0

※ 内容、所属、役職等は取材時のものです


■東リ株式会社
1919年創業のインテリア総合メーカー。ビニル系床材、カーペット、カーテン、壁装材を主な事業領域とし、「確かな品質と技術」で心豊かな空間環境づくりに貢献している。
https://www.toli.co.jp/

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